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コロナウィルスは食における消費行動にどのような影響を及ぼすのか

by foodystyle

世界中に大混乱をもたらした新型コロナウィルス。

たとえ緊急事態宣言が解除されたとしても、コロナウィルス発生前の世界に戻るとは到底思えない。

今後も第二波、第三波のコロナウィルスが訪れると考えられている現在、コロナウィルスとの共存を前提とした「ニューノーマル時代」について様々な意見がメディアで論じられている。今回は私の専門領域である食分野のニューノーマルについて考えてみたい。

コロナウィルスは社会にどのような影響を与えたのか?
その結果、人々の間でどのような価値観が新たに生まれたのか?
その価値観は食領域における消費行動にどのような影響を及ぼすのか?

これらをまとめたのが下記の図である。

Foody Style作成

ニューノーマル時代に食領域で拡大されるであろう消費行動について、1つずつ見ていこう。


1.メリハリ消費

経済的不安が増長される中、日常生活で使うものの費用はできるだけ抑え、本当に重要なもの、嗜好品にのみお金を使うという「メリハリ消費」が拡大していくだろう。

「新型コロナの影響に対する節約意識」に関する調査 によると、「新型コロナの影響で食品に対する節約意識が高まった」と回答した人は40%以上にのぼる。

普段はプライベートブランド食品やファストフードチェーン店を利用し、特別な日だけ外食や飲食店のフルコース料理をテイクアウトするなど、コスパ重視の食事と豪華な食事の二極化になっていき、中間のポジションにいる食事は淘汰されていくのではないだろうか。


2.予防消費

ハーバード大学の教授が「新型コロナウィルスには有効な治療方法はなく、個人の体力、免疫力が生死を分ける」「栄養バランスの取れた食生活、規則正しい生活、運動習慣、禁煙などをしている人の方が、健康でいられる確率が高い」と述べていたように、普段の生活がウィルス感染時に生死を分けるといっても過言ではない。

「コロナ感染拡大前と現在における生活習慣の変化」に関する調査 によると、45%以上ものひとが「バランスの取れた食生活をするように心掛けている」と回答している。

「病気になってから対処する」のではなく「病気にならないよう普段から健康的な生活をする」という予防意識が高まり、免疫力を高める食事や、栄養バランスの優れた食事など、食の機能的価値が重視されるようになるだろう。

免疫力向上効果があると言われているたんぱく質豊富な食品や、ヨーグルトなどの発酵食品、「BASE FOOD」のような栄養バランスの優れた「完全食」、あるいは「Green Spoon」など自分の身体に不足している栄養分が摂取できる「パーソナライズ×ヘルシーフード」の人気は今後ますます高まっていくだろう。


3.巣ごもり消費

「新型コロナウイルスの世界的流行を抑えるためには、外出規制などの措置を2022年まで断続的に続ける必要がある」とハーバード大の研究チームが発表していることからも、緊急事態宣言が解除されても、混雑している場所へ出かけることへの不安感、リモートワークの浸透などにより、家で過ごす時間は引き続き増えるため、おうち時間を充実させるための食事や調理器具のニーズは引き続き高まるだろう。

パンづくりなど恐ろしく手間のかかる行動は減ったとしても、海外旅行に行けない欲求を満たすための「世界の料理が届くサービス」や、在宅ワークをしながら少しリッチな気分が味わえる「おうちカフェセット」、週末家族と楽しめる「レゴの形をしたワッフルメーカー」などの需要は今後もあるのではないだろうか。


4.オンライン消費

緊急事態宣言中、ホームセンターやスーパーなど生活必需品取り扱い業者のEC売上が増加した。

混雑したスーパーへ行くことの不安、家で過ごす時間が長くなることとから、引き続きオンラインスーパーでの買物傾向は続くだろう。

今後リモートワークが浸透していったとすると、家で3食つくる必要が出てくるため、単なる食材配達サービスではなく、oisixのミールキットサービス のようなレシピ考案、時短調理などの「家事負担の軽減」という付加価値が付いた食材配達サービスの需要が高まるかもしれな


5.サステナブル消費

コロナウィルスがもたらした影響は決して悪いことばかりではない。経済活動がストップしたことで、地球環境には良い影響が出ている。イギリスの環境ニュースメディア 「Carbon Brief」 が発表したデータによると、今年の温室効果ガスの排出量は昨年に比べて16億トンも減少する見込みだという。さらに、どす黒い色であったベネチアの運河が鮮明なエメラルド色を取り戻すなど、環境への予期せぬ影響が出始めている。

世界でSDGsの取組みが活発になる中、今回のコロナショックをきっかけに、環境・社会を意識した消費行動は加速していくだろう。

フードロスを減らすために必要最小限の食品を購入、環境に良い食材を選択するなどの、サステナブル消費が拡大していく。

コロナ感染拡大による消費面の意識調査 によると、「食品のムダをなくし、なるべく廃棄がないようにしたい」「社会や環境のことまで考えた消費行動を日ごろから考えたい」と回答した人が一定数存在している。

衝動買いを減らすため、事前に1週間の献立を検討してくれるサービス「me:new」や、フードロスをレスキューするサービス「TABETE」などのサービスは支持されていくだろう。

あるいは、家畜に潜むウィルスへの恐怖も相まって、環境問題を改善すると言われている「ヴィーガン食」も支持されるようになるかもしれない。


6.応援消費

SNSが浸透し、小さな声でも発信、受信することが容易になった現在、シェアやオンライン寄付など気軽に賛同することができるようになった。コロナで浸透した「応援するために物を買う」という習慣が根付き、誰かのために活動している人、社会課題の解決に挑戦している企業にお金が集まるようになっていくだろう。

コロナ感染拡大による消費面の意識調査 によると、「自分さえよければいいという消費行動はとりたくない」と回答した人の割合は41%にものぼる。

コロナの影響でダメージを受けた生産者のサポートを呼びかける「食べチョク」代表秋元氏のツイートは14.6kRTを記録し、このツイートをきっかけに、行き先を失っていた全ての食材が完売するなど、人々の間で「困っている人を助けるためにモノを買う」という行動が浸透している。

「食べチョク」をはじめ生産者と直接取引できるサービスや、挑戦している人、困っている人を助けるクラウドファンディングサービスは今後も支持されていくだろう。

ただし、コロナ終息後は「緊急事態により食材が余っているので買ってください」というメッセージでは通じなくなるため、日頃のコミュニケーション、顧客との信頼関係が重要になるだろう。

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