Home Marketing ケーキ界のルイヴィトン?!高級ケーキショップ「Lady M」が世界で成功を収めた理由とは?

ケーキ界のルイヴィトン?!高級ケーキショップ「Lady M」が世界で成功を収めた理由とは?

by foodystyle

アメリカで人気のケーキショップ「Lady M」

Photo : Lady M

アメリカのケーキはとにかく甘い。2口食べればもうお腹いっぱい。
そんな甘ったるいケーキが溢れるアメリカで、日本のような繊細の味を楽しめるケーキ屋がある。それがLady Mだ。

1ピース9ドル(約1,000円)のケーキを販売している高級ケーキショップ。

2004年にニューヨークにオープン。
高価格ながらも、アメリカの砂糖がたっぷり入った甘ったるいケーキとは全く異なる洗練された味と、見た目の美しさで、瞬く間にニューヨーカーの心を掴み、今ではNYのみならずボストンやロサンゼルスなどアメリカに10店舗、中国やシンガポールなどアジアに27店舗を展開する人気ケーキショップへと成長した。


日本の小さなケーキ屋がニューヨークへミルクレープを”輸出”

Lady Mの看板商品はミルクレープ。

Photo : Lady M

日本未上陸のこのお店だが、Lady Mの起源は日本のケーキ屋にある。

そのお店が「ミルクレープの発祥の店」と言われている、麻布にあったケーキ屋「Paper Moon」

このお店を営んでいたKazuko Emy WadaさんがNYにミルクレープを持ち込んだのが「Lady M」の始まりである。(彼女の名前「Emy」が店名「Lady M」になっている。)

そしてNYでの出店をサポートしたのがハワイ出身のRomaniszynファミリーである。

現在Lady Mの代表を務めているKen Romaniszynさんは、International Culinary Centerという料理学校で洋菓子作りを学んだだけでなく、ハーバード大学のビジネススクールをも卒業している。

Photo : https://paigeburris.weebly.com/lady-m.html

母親が日本食レストランを経営していたこともあり、Kenさんは幼い頃から日本食に親しみを抱いていた。

料理学校で学んだ洋菓子の知識と、母親から受け継いだ日本食への愛。そしてビジネスに対するノウハウを持ったKenさんの手により、Lady Mは今や世界に37店舗展開するグローバルブランドへと成長した。


なぜLady Mはアメリカそして世界で成功できたのか?

1ピース約1,000円と高価格ながらも世界中から愛されるブランドへと成長したLady M
その理由は何だろうか?


1.ジュエリーブランドのような世界観を確立

1ピース約1,000円という高級ケーキを販売するLady Mは、「ケーキ界のルイヴィトン」とも言われている。

アートのように美しいケーキは質の高い食材で作られており、ショートケーキに使用されている苺は日本から空輸で取り寄せられているという。

そしてケーキ屋というよりは、ジュエリーショップのような雰囲気を醸し出している、白を基調としたシンプルでスタイリッシュな店内。

壁には金の額縁に入ったケーキの写真がまるでアート作品かのように掛けられている。

その中央には大きなショーケースが1つだけ置かれており、見本であるホールケーキが並べられている。

通常ケーキ屋は、店員とお客様がショーケースで隔てられており、お客様がショーケースの中から選んだケーキを店員が取り出すオペレーションになっている。

しかし、Lady Mではこのようなオペレーションはなく、店員に欲しいケーキを伝えると店の奥からケーキを取り出してくるのである。まるで高級ジュエリーを扱うように。

店舗によってデザインは若干異なるものの、最近深センにオープンした店舗は特にブランドの世界観が際立ったデザインとなっている。

広々とした白い空間にラグジュアリー感溢れるソファが並べられおり、高級ジュエリーショップのVIPルームのような雰囲気すら感じられる。

Photo : Lady M

今までにないスタイルのケーキショップに仕上げたことで、独自のブランドポジションを築き上げ、他のケーキショップとの差別化に成功したと言えるだろう。


2.アジア人をターゲットにした商品づくり

ニューヨーク発祥のLady Mだが、主要顧客はアメリカ人ではなくアジア人である。店舗を訪れると、来店客の9割はいつも中国人をはじめとするアジア人である。

そのため、アメリカ合衆国内では、アジア人比率が高いと言われているカリフォルニア州にNYに次いで多くの店舗を出店している。

テイストもアジア人が好む甘さひかえめで繊細なものに仕上げており、抹茶のミルクレープなど和の素材を使用したものも用意している。

またケーキ屋でありながら、中国で中秋節の贈り物に用いられている「月餅」もシーズンになると販売しており、中国をはじめとするアジア人から人気を博している。

アメリカで店舗展開をしながらもアメリカに住んでいるアジア人をターゲットにした商品づくりを行ったことで、アジア人から支持を得ることに成功した。

現在は中国にマーケットを集中させており、上海・北京、深セン…と様々な都市に続々と店をオープンしている。Lady Mのマーケティング担当者は「SNSを通じてアメリカ在住のアジア人からの口コミが中国本土に伝わっているため、大掛かりなプロモーションをしなくとも繁盛している」と述べている。


3.ライフスタイルに溶け込んだ贅沢スイーツ

1個1,000円の高級ケーキにラグジュアリーなインテリアの店内。

日常生活では縁のない、特別な時にしか利用機会のない「贅沢スイーツ」というイメージを与えるLady Mだが、その一方で「ライフスタイルに溶け込んだ身近なスイーツ」というイメージも同時に与えている。

一見矛盾するこのブランドイメージを上手に共存させているところが、Lady Mのブランディングの巧さであろう。

Lady Mでは、ミルクレープやチョコレートケーキなどオールシーズン取り扱っている定番ケーキに加え、母の日にはバラを使ったミルクレープを、夏はサッパリとしたパッションフルーツを使ったミルクレープを提供するなど、毎月季節やイベントに応じた限定ケーキが提供されている。

Lady Mのケーキで季節を感じて欲しい。家族の絆を深めて欲しい―。そんな想いが込められた、生活者に寄り添ったブランドが作られているのである。

あるいは4月のエイプリールフールには、ミルクレープをピザに見立てた写真をSNSで投稿するなど高級ブランドでありながら、遊び心も見られる親しみのあるブランドになれる施策も実施している。

ラグジュアリー感を出しながらも、お高くとまったブランドではなく、生活に溶け込んだ親しみのあるブランドを創り出したことで、多くの人の心を掴めたのではないだろうか。


日本の誇るべきスイーツ「ミルクレープ」の名を世界に広めた「Lady M」。

日本に逆輸入される日も近いかもしれない。

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