若者にアルコールを飲んでもらうために、アメリカの飲食店が行っている施策とは?

少子高齢化、健康・ウェルネスに対する意識の高まり、飲酒機会の減少などの理由から、世界の主要各国でアルコールの消費量が減少しています。

下記のグラフは、調査会社「Our World in Data」が発表している「高所得国1人当たりのアルコール消費量」

https://ourworldindata.org/

ビール大国であるベルギー、ドイツをはじめ、アメリカや日本のアルコール消費量がここ数十年で減少していることが分かります。

そして最近日本で言われているのが「ミレニアル世代のアルコール離れ」

カクテルに見えてノンアルコールの飲み物、「MOCK(偽りの、見せかけの)」と「COCKTAIL(カクテル)」を組み合わせた造語「モクテル」というワードが普及し、アマン東京などの一流ホテルでモクテルを楽しむ若者の姿が見られるなど、ミレニアル世代の間ではアルコールと距離を置いた新たなライフスタイルが広がりつつあります。

アメリカでもミレニアル世代のアルコール離れは問題となっており、飲食店ではミレニアル世代を惹きつけるために様々な施策を実施しています。


他の世代と比較した際のミレニアル世代の特徴は?

アルコール離れが進むミレニアル世代ですが、アルコールに対する考えや行動において、いくつかユニークな特徴があります。

下の図は、2018年にニールセンが実施した「過去1年でアルコールを飲むために訪れたことがある場所」に関する調査を元に作成した図

https://www.nielsen.com/us/en.html を元にFoody Style作成

ミレニアル世代(21-39歳)の67%が、「過去1年でブリュワリー(ビール醸造所)の試飲室でアルコールを飲んだことがある」と答え、63%が「ティキバー(ポリネシアンをテーマにした、バンブーやヤシの葉、船具などで店内を飾り、TIKI MAGと呼ばれる陶器製のカップでお酒を飲むバー)でアルコールを飲んだことがある」と答えています。

「TIKI bar」の画像検索結果
https://houstonfoodfinder.com/

アメリカ人全体の調査結果と比較して、どの項目も数値が高いことから、ミレニアル世代はブリュワリーや映画館のバーなどユニークな場所でアルコールを飲む傾向があることが分かります。

また、ミレニアル世代はアルコールを飲む目的においてもユニークな特徴が見受けられます。

下の図は、Collage Groupが2018年に実施した「アルコールに期待する効果」に関する調査を元に作成したもの。

https://www.collagegroup.com/ を元にFoody Style作成

X世代やベビーブーマーと比較して、ミレニアル世代(特に若い世代)は「リラックスするためにアルコールを飲む」と回答した割合が低く、逆に「新しい仲間と関係性を築くためにアルコールを飲む」と回答した割合が高くなっています。

ミレニアル世代はコミュニケーションツールとしてアルコールを飲んでいることが分かります。


ミレニアル世代を惹きつけるためにアメリカのアルコール関連企業が実施している施策とは?

ユニークな場所で、コミュニケーションツールとしてアルコールを摂取することが多いミレニアル世代を惹きつけるために、アメリカの飲食店は様々な施策を実施しています。いくつか例を紹介しましょう。


①出来立てのビールを提供するレストラン

アメリカには、通常のブルワリー(ビール工場)よりも小規模な「マイクロブルワリー」というものが存在します。「ビール製造機能を兼ね備えたレストラン」と言ったところでしょうか。

フルーツビールをはじめ、様々な種類のビールが用意されており、美味しい食事と共に楽しむことができます。

店内は通常イメージするようなビール工場とは全く異なるオシャレさで、ビールが進むジャンキーな料理のみならず、サラダボウルのような低カロリー、低炭水化物のヘルシーなフードも提供されています。

店内にはビールよりも食事を楽しむミレニアル世代の姿も多く見られ、「ビールを飲むため」というよりは「オシャレなレストランで会話を楽しむ」という目的で来店している様子が伺えました。


②映画館でお酒を提供

ニューヨークなどで展開されている、映画館とレストランの複合施設「iPic」

映画を鑑賞しながら、レストラン並のクオリティの料理やお酒を楽しむことができます。また、映画鑑賞後に最上階にあるバーでお酒を楽しむこともできます。


③ブルワリーでヨガを実施

ヨガやピラティスなどのヘルスイベントを実施するブルワリー(ビール工場)やワインバーがアメリカでは数多く存在します。

週末の朝、友人同士誘い合ってヨガを行い、そのまま出来立てのビールを飲む。

健康なのか不健康なのかよく分かりませんが、友人同士のコミュニケーションが盛り上がることは間違いありません。


④1人用サイズのお酒

最後に、飲食店ではなくメーカー側の取り組みを紹介。

日本では、ワインといえばボトルに入っているものが一般的ですが、アメリカではオシャレなパッケージの缶に入ったワインも販売されています。

ストロー付きの小さな缶ワイン。
開けたら全部飲まなければいけないボトルだと大人数揃わないと飲めませんが、これならば1人で気軽に飲むことができます。
このまま食卓に出してもオシャレなので、食卓も華やかになります。

余談ですが、アメリカのデザインセンスは本当に豊かで、ワインホルダーもオシャレなデザインのものが沢山あります。
こちらはヴーヴ・クリコのワインホルダー。絵具のチューブのような容器に入っています。

こちらはヨガマットに見せかけたワインホルダー。

このような容器にワインを入れてホームパーティーに持っていったら盛り上がること間違いなしですよね。


ミレニアル世代にとってお酒はコミュニケーションツール

お酒を「コミュニケーションツール」として利用しているミレニアル世代に向けて、お酒そのものではなく、「お酒を片手に家族や友人と楽しむ体験価値」を訴求しているアメリカの飲食店。

お酒離れが進むミレニアル世代を惹きつける施策として、参考になる事例ではないでしょうか。

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